【全教談話】内閣・自民党合同葬儀への弔意表明の押しつけに抗議する

2020年10月15日

 

【談話】内閣・自民党合同葬儀への弔意表明の押しつけに抗議する

 

全日本教職員組合(全教)

書記長 檀原毅也

 

文科省は、10月13日、故中曽根康弘氏の内閣・自由民主党合同葬儀の行われる10月17日の弔意表明について、都道府県教育委員会に対し、10月2日付の内閣官房長官からの通知を「参考までにお知らせする」とするとともに、市区町村教育委員会に「参考周知」するよう依頼しました。弔意表明の具体的な内容として10月2日に閣議了解された弔旗の掲揚と一定の時刻の黙とうが示されています。

 

一政党がとりおこなう葬儀について学校などに弔意を表明するように求めることは、教育基本法第14条が禁止する特定の政党を支持する活動にあたり、教育基本法第16条に明記された「不当な支配」にあたります。また、弔意表明を強制することは憲法第19条の思想・信条の自由に抵触し、個人の内心を統制することにほかならず到底容認することは出来ません。

 

さらに、故中曽根氏の葬儀に今年度予算の予備費から1億円近くが投じられることが閣議決定されています。コロナ禍のなか、くらしに困難を抱えている国民の感情とはまったく相いれない税金の使い方です。

 

文科省からの連絡に対して、都道府県教育委員会の中には、学校における特定政党の支持につながる活動であることから学校現場には伝えないという当然の判断をした教育委員会がある一方で、10月7日に総務大臣から都道府県知事・市区町村長に同様の通知があったことをうけて、学校で弔意表明するよう連絡をした教育委員会もあります。教育行政の独立性を著しく損なうものです。

 

また、学校で弔旗掲揚等がおこなわれるならば、週休日である土曜日に弔旗掲揚等をするために出勤を命じられる教職員がいることも、きわめて不適切です。

 

政権発足後1か月に満たない間に、菅政権は日本学術会議問題で明らかになった学問の自由の侵害、そして今回の弔意表明の強制など、個人の思想や内心に介入し、これを統制しようという非常に危険な姿勢をあらわにしています。

 

全教は、今回の弔意の強制について強く抗議し、その撤回を求めるとともに、多くの人々と力を合わせ、憲法をいかし、民主主義にもとづく政治の実現と、学問の自由と教育の自由の保障を求めてたたかいをすすめる決意です。

 

以上