ほんりゅう 2020年7月20日(長澤)

4月末、父親が脳梗塞で倒れた。コロナ感染症の影響で面会もままならない状況が2か月続いた。在宅での介護を決めた私たち家族に対して、入院中にカンファレンスが数回開かれた。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、ケアマネージャー、デイサービス職員、訪問看護師等、一人の要介護者を支えるために多くの職員が関わる介護保険制度を身をもって体験することとなった▼今年で20年となる制度は、課題を抱えながらも介護に関わる家族を孤立させないという理念のもと、多くの職員によって支えられている。実際に父親に接している彼らの姿や家族への応対は大変ありがたいものであった。こんなに沁みるのはなぜかと考えると、どなたもが社会的弱者になった父親と家族に寄り添うという姿勢で接しておられるのだ、と気づいた▼競争し勝つことが求められ、経済効率が優先される社会にあって、だからこそ対極に位置づけられる人々と向き合う仕事はもっと大切にされてよいと思う。今後、マンパワーがより必要とされる介護分野での待遇改善は必須である▼実は、父親に寄り添っていただいた一人は教え子であった。「優しい大人になったなぁ」と感じながら、果たして今の自分は子どもたちに寄り添えているか、と顧みる機会ともなった。