1/30【報告】県教委と調整額の交渉行う

県教委 調整額廃止は「お金の問題ではない」

「特別支援教育はすべての職員で担う」というものの…

 

 1月30日、県教育委員会と調整額廃止に関わる交渉を行い、障教部を中心に7名が参加しました。参加した障教部組合員(特別支援学級)の報告を掲載します。

専任の特別支援コーディネーターが必要

 

 調整額に関しては、県教委の「お金の問題ではない。特別支援教育はすべての教員で担うものであるから、調整額は廃止する」という考えを聞いて、異論を述べるために参加しました。

 県教委の言う「特別支援教育」は、通常学校における特別支援学級に在籍する子や通常学級にいる特別なニーズを持つ子を想定しているように感じたため、以下のことを述べました。

 

1.特別支援学級に在籍する子どもについて、市販のドリルや教具は利用できないことが多いため、教材・教具の工夫は欠かせない取り組みである。その費用は担任の持ち出しとなっている。

2.通常学級の担任全てが、発達障がいについて十分な理解をしているとはいえない。LDは知的に遅れている、とか、ADHDやPDDの子は我慢が足りない、ということを大真面目に話す先生がいる。

3.文部科学省が述べている、「通常学級に在籍する発達障がいの子は約6%」という数字は実態に合っていない。ある小学校では専門家の見立てによると、約20%の子が何らかの発達のもつれを持っていると言われている。

4.通常学級の発達にもつれを持つ子どものためには、先生方の授業改善が必要である。しかし、現状はかなり難しい。以前、ある先生に板書の仕方を変えていただくようお願いしたところ、拒否された。

5.通級指導教室での指導方針に疑問を感じている担任がいる。通級の場と通常学級の場では子どもの姿が大きく異なることがあり、通級指導教室と通常学級の先生との意志の疎通に問題がある。

6.病院の先生に相談をもちかける保護者が年々増えている。しかし、学校現場の状況や方針と病院の考えが疎通できないため、学校批判をする病院の担当者がいる。

 

 特に、4.5.6の状況を打開するために、特別支援コーディネーターの専任化が必要である。

 これに対して、県教委は「特別支援コーディネーターの専任化が望ましいことは理解している。しかし、財政が厳しく、国として加配を保証してくれないと無理である」という答えでした。

 

高度な専門性に見合う待遇を

 

 そこで「県として、特別支援教育をさらに充実させるために、どのような具体策を考えているのか」と尋ねたところ、県教委は大きく次の3点を述べました。

 

1.特別支援教育担当者の資質向上を図る。そのための研修を充実させる。

2.それぞれの学校で特別支援教育に関する校内研修を進めていただく。そのために講師の派遣などには最大限、応えたい。

3.特別支援担当の先生が専門性を光らせて仕事ができる環境を作りたい。キャリアアップなどを考えたい。

 

 これらの回答に対して、私は「特別支援教育が高度な専門性に支えられていることを理解していただき、うれしい。そうであるならば、高度な専門性に見合った待遇をしていただきたい」と述べました。

 交渉を終えて、県教委として「特別支援教育はすべての職員で担う」という建前はあるものの、実際はそうなっていないし、そうなることも簡単ではな い、ということを分かっているのではと感想を持ちました。それでも調整額について廃止を推し進めるのは、「お金の問題ではない」というなら、いったい何だ ろう?と思ってしまいました。