【報告】岐阜教組提出「中学校免外授業解消請願」は不採択に

 

県内の中学校には、毎年300人を超える免許外授業を行う教員がいます。その解消に即効性があり最も有効な方策が、免外解消非常勤講師の配置です。しかし、県教委が要望する予算は大幅に不足しています。今回の請願はその予算の拡充を求めるものでした。

 

非常勤講師が配置されたけど免外が解消されない!

免外解消非常勤講師の勤務時間について、県教委は週8時間を予算請求しています。そのため、学校が免外解消に必要な時間を申請しても、8時間までしか認められません。したがって、週に3,4時間の授業がある教科の授業は、3クラス以上担当することができません。

非常勤講師が配置されない!

予算請求している非常勤講師の数は今年度は200人で、中学校177校よりわずかに多いだけです。毎年300人を超える免外が生じる状況を踏まえ、少なくとも500人以上の予算拡充が必要です。

  また、県教委は「教師間の授業時数に大きな差が生じる場合、免外という形で授業数を調整することがある」と説明しています。これは文科省が不適切であると指針で示しています。

どうして請願が不採択になったの?

106日の教育警察委員会で、加藤大博委員が「様々な方策の中で免外の解消を図っており、予算の拡充だけを求めるこの請願は不採択とすべき」と発言し、それを委員会の結論にしました。そして109日の本会議で、紹介議員の中川裕子議員以外の起立で不採択となりました。なお、委員会や本会議の様子は岐阜県議会のホームページから視聴できます。

 

 

「専門教科の免許外で授業が行われている」という事実を、保護者の大半は知りません。現在取り組んでいる「教育署名」でも「教員未配置や免外授業の解消」を訴えています。署名活動を通して免外の実態を伝えましょう。(1126日締切)また、免外の実態についての情報をお寄せください。


請願の内容

1.請願の件名

中学校の免許外教科担任解消のための非常勤講師の予算の拡充を求める請願

 

2.請願の趣旨

 中学校では毎年、免許外教科担任(以下、「免外」)による授業がおこなわれています。「免外」の授業では、生徒は専門的な学習指導を受けられないだけでなく、学習評価の信頼性も揺らぎます。そして、その評価は「評定」として県立高校入試等に影響します。

 教育職員免許法では、「教員は原則として免許状を有しなければならず、この免許状は学校種、担任する教科に相当しなければならない」とされています。「免外」はあくまでも例外的な扱いとなっており、文科省は縮小することを求めています。

 「免外」が生じる原因として、「小規模校のため全教科の教員を配置できない」、「中山間地で遠距離のため複数校の兼務が困難」といった理由も挙げられます。しかし、中学校の数が同じくらいの長野県や三重県と比較してみても、「免外」は長野県30人、三重県45人に対して岐阜県353人と突出しています。(令和5年度 文科省資料)さらに「免外」の授業は、岐阜市においても、2025年度には約6割の中学校で「免外」の授業がおこなわれており、教科も全教科にわたっています。教員の複数校兼務による解消は1件のみです。

 県教育委員会は「免外」解消のために、教員採用試験における「複数免許所有の加点」や英語や技術の免許法認定講習を実施するなどの取り組みも行っていますが、その効果は極めて限定的です。早急に解消する最も有効な方策は免許外教科担任解消非常勤講師の配置です。しかし、年度当初からの同非常勤講師の予算は、1校あたり週8時間分しか割り当てがなく、非常勤講師が配置された学校でも「免外」が解消できない事態が生じています。また、年度途中での任用の予算はありません。

  根本的な解決には国による教員定数の改善が必要です。岐阜県議会も2023年12月に国に意見書を提出しましたが、定数改善の見通しは立っていません。また、例年「免外」解消のための非常勤講師の国予算の増額を要望していますが、解消には至っていません。

 現在、「免外」の授業を受けている生徒たちを放置せず、担当教科の免許をもっている教員の授業を受けられるように、中学校の免許外教科担任解消のための非常勤講師の予算を拡充することを要望します。

 

3.請願の理由

免許外教科担任解消のための非常勤講師に係る予算が国の予算では不十分であるため。