ほんりゅう 2024年2月5日(奥村)

先日読んだ小説の話。3人の医師が登場する。ひとりは苦しめてでも患者を救おうとする。患者にも絶対に諦めさせず生き続けることが最も大事だと考えている。2人目は逆に無理に生き長らえることが最良だとは考えず、患者に自分らしく死ぬことを勧める。3人目は患者に生きることの努力を続けさせるか、苦しみから解放され自分らしく死を選ぶか、患者と共に悩み、選択できず苦しむ医師である。彼は自分の考えをはっきり持った他の2人に憧れ、確固たる信念がない自分はダメだと落ち込む。生と死を患者と共に迷い苦しむ。かっこ悪く泥くさい▼はっきりとした方針を持ち、迷わず突き進んで生徒を導く教師にあこがれる。しかし私はそうではない。同僚と教育方針が食い違ったとき、生徒の問題行動に直面したとき、仕事と家庭との板挟みになったとき、判断に迷うばかりだ。決断しても「これでよかったか」と再び迷ったり後悔したりする。中途半端な判断ばかりだが、その都度、最良の判断をしようと考えている▼ネタバレかもしれないが、小説のクライマックスは、これまでいがみ合っていた3人が力を合わせる。異なるタイプの医師が協力するとものすごい力を出す。我々もきっと同じだろう。

 

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