【報告】組合連「勤務改善アンケート」記者発表を行いました

組合連では、教職員の勤務実態をあきらかにするため、20年近く「勤務実態」を調査しています。

8月23日、組合連絡会議は6月に行った「勤務改善アンケート(回答数1428名)」の結果を県庁記者クラブで発表しました。発表の内容をお知らせします。



記者発表の様子(8月23日)
記者発表の様子(8月23日)

教員はいわゆる「定額働かせ放題」の「給特法」のもと、長時間勤務を強いられているだけでなく、難しい保護者対応や配慮が必要な児童・生徒への対応など、ストレスの大きな仕事をこなしています。その結果、毎年多くの病気休職者が出ています。県教委も「働き方改革」をすすめていますが、病気休職者は減少せず、その約7割が精神疾患による病休です。年代別には、病休者の中に占める精神疾患の比率は20代では9割ととても大きくなります。

定年まで働くことなく職場を去る方も多くいます。定年前の退職の理由には、病気や家庭の事情など様々な理由がありますが、「気力・体力が続かない」という理由も大きいことが推測されます。中学校や特別支援学校では、定年前に退職する教員の方が多いことがわかります。 


休憩時間

1日の休憩時間について、労働基準法では、45分の休憩を保障しなくてはいけませんが、教員の実態はご覧の通りです。

 

教員は「給食指導」のほか、「帰りまでに宿題を見なくてはいけない」とか、「昼休みに児童・生徒を呼んで話をしなくてはいけない」とか、休憩時間をけずって働いています。


時間外勤務

この調査結果には、勤務時間の前に学校で働いた時間、勤務時間後に学校で働いた時間、学校外でおこなった部活等の時間、家に持ち帰って働いた時間が含まれています。 

ただし、「休憩時間に働いた時間」は含まれていません。


県教委調査との比較

県教委も、教員の勤務時間の把握をおこなっています。その1か月平均が公表されています。私たちの1週間のアンケートを1か月に換算して比較しました。ただし、単純に比較できません。県教委のデータは、「在校等時間」を元にしたもので、学校で仕事した勤務時間外の時間と引率の時間であり、持ち帰り仕事の時間は含まれていません。また、県教委のデータも勤務実態アンケートも休憩時間の勤務の時間は含まれていません。

また、県教委のデータは1年間のトータルを1か月に平均したものですので、教員がとても忙しい学校行事や成績処理や、入試の時期も含まれていますし、夏休みや冬休みも含まれた上での平均です。

 

それでも、これだけの大きな差があることがわかります。


時間外勤務の内容は

勤務時間外にどんな業務を行っているかでは、どの校種も一番は「授業に関すること」です。教員の仕事の一番大切な授業に関する仕事が勤務時間内にできないことを意味しています。

そして、中学校・高校では「部活動」が第二位となります。その次が、「分掌」の仕事、つまり学校の運営に関わる仕事です。


教職員の悩み

働く上での悩みの 第一位が「疲れがとれない」です。教員によっては土日や祝日にも部活その他の仕事をして、平日の「疲れがとれないまま」月曜日を迎えることになります。

第二位が「十分に授業の準備ができない」こと。多くの教員は「授業こそが第一の仕事」と考えています。それなのに「十分な準備ができていない」ことはとてもつらいことです。

第三位が「やる気の維持が困難」です。やる気が十分でないと、授業がおろそかになったり、児童・生徒への対応が遅れがちになったりする可能性が高まります。そして、定年前の退職を選択する可能性も高まります。

第四位が「家族との時間が十分とれない」です。「人の子どものために時間も労力も多くかけて、肝心の自分の子どもには十分な時間や労力をかけていない」という教員の悩みが多く聞こえます。


勤務時間記録は正確か?

県教委の勤務実態調査の入力が正確でないという声が多く聞こえてきます。私たちのアンケートでは、約3割が「正確でない」と答えました。

その理由の一位は「この調査を正確におこなっても、勤務改善にはつながっているとは思えない」というものです。その他、時間外勤務の上限である月45時間を超えると報告書の提出が求められるのですが、その報告書の提出をしたくないという理由が第二位です。ただでさえ忙しいのに、報告書まで書きたくないという理由です。

この質問は過去にもおこなっています。質問の表現が多少異なるのですが、正確に入力しているという答は4年前には約90%。3年前には約80%、今年は約70%と、順に悪くなって来ています。


ICTに関して

現在、教育界でも急速にICT活用、デジタル化、オンライン化の波が押し寄せています。県教委はICT活用で「働き方改革」を推し進めたいとしています。この方針に対する学校現場の意識は、「授業や業務の負担が軽減した」と「全く思わない」・「あまり思わない」の合計が55%です。

ICT活用に対しては、「働き方改革」が進んだという意見と、「保護者との連絡等でもっと活用してほしい」と言った意見や、「授業等での活用が強制されて負担が増えた」という意見もあります。また、「いわゆるICT活用を各学校で支える情報担当者に負担が集中している」という声も大きいです。 


パワハラ・セクハラに関して

パワハラ・セクハラについて、様々な項目をあげて、一つずつ「経験したことがあるか」「見聞きしたことがあるか」を聞きました。その結果、ひとつでも当てはまることがある場合がこのデータです。

ともに5人に1人程度が「パワハラ」または「セクハラ」を経験したか、見聞きしたことがあることになります。

 


 

第一位は、いわゆる「ジタハラ」です。各学校で「働き方改革」をすすめようとしていることは大切なことだと思いますが、仕事があるのに「早く帰れ」だけでは解決にならないという声がとても大きいです。

管理職や年上からの「意見の押しつけ」や「細かすぎるチェック」などと続きます。例えば研究授業をやろうとして案を出すと、修正や変更を求められて、自分の思うような授業ができないといったこと、通知表に記入するコメントをめぐって、学年主任、教務主任、教頭、校長に見せるたびにチェックが入ってそのたびに修正しなくてはいけないといったことがあります。


研修に関して

今年7月に教員免許更新制が廃止されましたが、新たな研修が来年4月から始まります。

しかし、岐阜県は他県に比べて教員がおこなう研修がとても多く、長時間勤務の大きな原因の一つとなっています。

研修については、とても多くの教員が負担の軽減を求めています。


部活動に関して

文科省やスポーツ庁が中心となって「部活動の地域移行・地域スポーツ化」が進められています。岐阜県は、実は全国的にも取り組みがすすんでいると言えます。それがデータにも示されています。朝練は8割の部活動がおこなっていません。


平日の練習時間は、中学校ではおおむね17時半に終了、高校ではおおむね18時半に終了、特別支援学校では概ね17時までに終了しています。


平日の休養日のデータです。中学・高校・特支とも、平日に1日以上の休養日がある部活が半数以上です。


土日の休養日については、2日に1日程度の休養日が8割~9割となっています。

ただし、これは新型コロナ感染の拡大とともにすすんだ側面もありますので、コロナが完全に終息後に元に戻らないか心配です。

 


教員が望む部活動改革のとしては、第一位が「部顧問の外部委託」、第二位が「顧問の希望制」、第三位が「部顧問を補佐する部活動指導員の増員」となっています。