ほんりゅう 2022年7月20日(長谷川)

安倍元首相が凶弾に倒れた。政治テロとの憶測も流れたが、宗教団体への恨みであったとのことだ。元首相の死を悼む▼その一方で、「元首相の悲願を実現しよう」という主張はこの事件を利用しているとしか思えない。元首相の様々な疑惑を無かったことにするのも誤っている。アベノミクスなどの政策の検証は客観的におこなうべきだ▼しかし「これはテロかも」との恐れを抱いたことは大切な事だと思う。多くの政党が事件後に「民主主義が踏みにじられた」との声明を出したが、それはテロやクーデターの結果、軍国主義の政治が生まれ、無謀な戦争に突入した戦前の歴史を背景にしているからだ▼歴史上、人類は同じ過ちを繰り返し、そのたびに「歴史から学ぶ」必要性が確認されてきた。もう二度と戦争の加害者にも被害者にもならないためには、私たちは常に社会や政治が誤った方向に向かっていないかを検証する必要があると思う▼昨年亡くなったノンフィクション作家の半藤一利さんが指摘したとされる「社会が戦争に向かう危険な兆候」は、「国民に被害者意識等が煽られる」「言論が不自由になる」「国粋主義の教育」「監視体制の強化」「ナショナリズムの強調」「テロの実行」である。既にいくつかの兆候が見られるのではないかと不安になる。

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