ほんりゅう 2021年9月5日(長澤)

私は1945年8月の終戦から17年後の1962年9月の誕生である。物心ついたときは高度経済成長の真っただ中で、知ろうとしなければ戦争についての理解を深められなくなっていた。とは言え、両親は空襲を経験し、伯父の何人もが戦地に出征している。近所には不発弾に触れ片腕を失くしたおじさんがいたし、初詣に行くと援助を求める白装束の傷痍軍人を見かけることもあった▼今年は戦後76年。1945年からさらに76年前に遡ると1869年=明治2年となり、この時期は激動の近代史とほぼ重なる。明治以降、戦争の時代と平和の時代がおおよそ半分ずつとなる。しかし、今や総理大臣はじめ政治家も含めて戦争を知らない世代が国民の大半を占めるようになり、戦争の風化が叫ばれる。ここ数十年の間に、戦争に向かっていった頃のような法律の制定や政治のあり方が続いている▼これから76年後は21世紀が終わる頃。日本や世界、地球はどうなっているだろうかと不安が募る。故ドイツ大統領ヴァイツゼッカー氏が戦後40年の演説で発した言葉「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」をあらためて胸に刻みたい。残りわずかの教員生活、歴史から学ぶことのできる生徒を育てたい。

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