ほんりゅう 2021年8月5日(長谷川)

県議会で「生理の貧困」を議員3人が取り上げ、教育長が「県立学校のトイレで生理用品を無償提供できるようにしたい」と答えた。対応の早さに感心したが、それ以上に「生理」の言葉が公の場で使われたことに驚いた▼旧約聖書では生理は穢れとされ、古代日本では生理中の女性は別室に隔離されたという。現代でも小学校高学年の女子だけで特別な授業を受け、男子は噂で生理の言葉を〝隠されるべきもの〟として身に付けた▼仏陀は苦の根本を四苦=生老病死と呼んだが、人間にとって一番の問題であるにも関わらず学校ではこれらの教育を避けてきたきらいがある。新たな命を授かる喜びにも他者を傷つける事にもつながる性の教育が典型だ▼自分は出産に立ち会い、産まれて間もない赤子に触れ、授乳を見る一方で、死にゆく親を看取り、死者となった親の体に触れた。その都度、大切なものを受け取ってきた。家族人数の減少とともに人の生や死を身近に体験する機会が減っている▼「いのちの大切さ」の学習の延長で、育てた生き物の屠殺や末期の癌患者から学ぶ教育、性の多様性も取り上げられるようになってきた。「人格の完成」のためには生や死に関わる学びを隠さず学ぶことが不可欠だ。

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