ほんりゅう 2020年11月5日(長谷川)

「このままでは教員が倒れる」組合の訴えに県教委が耳を貸さなかった頃に比べると隔世の感がある。「勤務記録を正確に行ってください。皆さんにもし何かあった時に証拠になります」と教頭が言う▼県のサイトのチャットに「やる気のない教員は学校から去るべき」と書き込みがあった。教員生活を振り返ると、熱を出した我が子や病気の親を病院に連れて行くために何度も授業を自習にした。保育園の迎えに間に合うために何度か部活途中で帰った。僕なりに家庭も学校も精一杯やってきたが、「やる気がないから」やめるべきだったのだろうか▼周囲の先生は「代わりの先生はいるけど子どもの親はあなたしかいない」「熱心な教員の子どもはぐれやすいから気をつけて」と言われた。子どもたちは立派に成人したが、しばしば遅く帰宅し、土日も家を空けたことに「もっと子どもたちにいろいろしてあげたかった」との思いが強い▼労働基準法にある休憩時間と授業時間が重なっている学校が多数ある。補習授業が勤務時間からはみ出している学校も多数ある。法律違反がまかり通っているのは、「やる気のある」多くの教員が何も言わなかったからだろう▼「いつまでも教師の善意に頼っているわけにはいかない」組合との懇談で県教委側が発した言葉である。
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