【人勧】2020人事院勧告「一時金0.05月引き下げ」

国民全体の大幅な賃金引き上げと全国一律最賃制度確立を

給与勧告のポイント

ボーナス(一時金)を引き下げ(△0.05月分)

月例給については、別途必要な報告・勧告を予定 

人事院は本日 、「特別給に関する勧告」という形で、一般職国家公務員の一時金(ボーナス)については民間の支給割合が4.46月であるとして、0.05月引き下げ4.45月分とする勧告を行いました。

月例給調査にかかわる勧告は今後おこなわれる見込みです。一時金のみ先行して勧告したことは、国会会期との関係による極めて政治的なものです。公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を、政治的な思惑によって異例の形でおこなったことに強く抗議するものです。

 

以下、全教の「声明」を掲載します。


2020年人事院勧告について(声明)

2020年10月7日

全日本教職員組合 中央執行委員会

 

1.人事院は本日 、一般職国家公務員の「人事管理に関する報告」とともに「職員の給与等に関する勧告と報告」のうち「特別給に関する勧告」のみを先行して、内閣総理大臣と両院議長に対して勧告と報告をおこないました。930日までおこなわれた職種別民間給与実態調査の月例給調査にかかわる「勧告」は、今後あらためておこなわれる見込みです。一時金のみを先行して勧告したことは、国会会期との関係による極めて政治的なものです。公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を、政治的な思惑によって異例の形でおこなったことに強く抗議するものです。

 

2.「特別給に関する勧告」という形で、一時金については民間の支給割合が4.46月であるとして、0.05月引き下げ4.45月分としました。そのうえで、今年度については引き下げ分を12月期の期末手当に充て、来年度以降については、6月期と12月期の期末手当に均等に割り充てるとしています。コロナ禍で国民のいのちと安全を守るため、長時間過密労働のもと昼夜をたがわず奮闘している国家公務員の現場実態を顧みず、一時金の引き下げ勧告が出されたことは、われわれの要求に応えない極めて不当な内容であり、全国の公務員だけでなく、地域経済にも大きな打撃を与えるものです。この間の一時金の引き上げ改定では、「勤務実績に応じた給与を推進するため」として、すべて勤勉手当に充ててきたにもかかわらず、引き下げ分については期末手当に充てています。これは、「人事管理に関する報告」において「政府における人事評価の改善に向けた検討に必要な協力を行う」として、成績主義を推進する政府方針に追随するものであり、到底容認することはできません。

 

3.722日、中央最低賃金審議会が「目安額を示さない」答申を出すなかで、101日から地域別最低賃金が改定されました。7都道府県で改定が見送られたものの、少額とはいえ40地方でプラス改定が実現し、「全国一律、めざせ1500円」の要求は、当たり前の要求として社会的にも注目を浴びて前進しています。全国の加重平均は902円となりました。国家公務員の高卒初任給(()15)は、時間給換算にして897円であり、最低賃金を下回っています。最低賃金は、初任給の引き上げだけでなく公務員賃金にも大きな影響を与えます。地域経済の循環につなげるためにも大幅な引き上げとともに全国一律最賃制度確立の運動はますます重要な課題となっています。

  

4.コロナ禍のもとで、今後、中小企業の倒産や非正規労働者の解雇や雇い止めがいっそう増加することが懸念されます。政府は、第2次補正予算で雇用調整助成金など、一定の対策を講じてきましたが、引き続き対策の充実が求められます。そして今こそ、大企業が内部留保の一部を取り崩し、すべての労働者の雇用を守り、賃上げを実現させる、社会的責任を果たさせるべきです。全教は、あらためて人事院に対し、生計費に基づく賃金改善をおこない、内需を拡大し地域経済を支えるためにも、公務員労働者の賃金を引き上げる「月例給に関する勧告」を強く求めるものです。

 

5.全教・教組共闘連絡会は、全労連公務部会・公務労組連絡会が提起する人事院に向けた公務労働者の賃金改善署名41925筆(公務労組連絡会全体では12万筆余)を集約しました。新型コロナウイルス感染拡大のため、中央行動をはじめとするとりくみは大幅に縮小せざるを得ませんでしたが、「8時間働けば人間らしくくらせる社会」の実現に向け、全労連に結集し官民一体となったとりくみをすすめてきました。すべての労働者の大幅賃上げ、労働者・国民のいのちとくらしを守り、今すぐどこでも最低賃金1000円以上へ引き上げることなどの課題と結合し、教職員の長時間過密労働を解消するため、「1年単位の変形労働時間制」の導入ではなく、教職員定数の抜本的な改善を求める「せんせい ふやそう」キャンペーン、「#めざせ20人学級」のとりくみを展開しながら夏季闘争をたたかってきました。

 

 

6.今後、地方においても同様に、「特別給に関する勧告」が先に出ることも予想されます。人事委員会に対し、賃金引き上げにつながる早期の完全勧告を求めるとともに、教職員をはじめすべての公務労働者の賃金引上げ、再任用教職員や会計年度任用職員制度をふくむ臨時教職員の待遇改善などを基本要求にかかげながら、ハラスメントの根絶、仕事と家庭の両立支援の前進、能力・実績主義を許さないたたかい、そして「1年単位の変形労働時間制」導入を可能にする条例化を許さないとりくみが求められます。全教は、教職員が生活の不安なしに教育活動に専念できる待遇改善を文科省と地方教育委員会にあらためて求めるものです。同時に「安倍政治」の継承をかかげる菅政権の危険な策動を許さず、憲法と教育、国民のいのちとくらしを守るたたかいと結合し、基本的人権である労働基本権の全面回復をめざし全力でたたかう決意を表明します。

 

以上