ほんりゅう 2020年3月5日(長澤)

子どもの頃、特撮ヒーロー物が相次いで制作・放映されるようになり、初代のウルトラマンや仮面ライダーに夢中になった。友達とも「正義のヒーロー」ごっこをして遊んだ記憶がある▼快傑ライオン丸という作品では、主題歌に「日本の平和を守るため 暗黒魔神をやっつけろ」なんてフレーズがあった。当時は勧善懲悪のストーリーに何の疑問も持たずに正義の味方となって遊んだものだ▼大人になると、世の中はそんな単純なものではないということが分かってくる。何が正義なのか、平和を守るとはどういうことなのか、実はたいへん深い問いかけである。しかし今の世界は、「自分の正義」を主張し、正義と悪を単純化して敵を作り出す風潮が強まっていないだろうか。あの時の「ヒーローもの」のように▼我が子が小さい頃にはウルトラマンコスモスが放映されていた。その主題歌では「Why なぜだろう?誰かを救えるはずの力で誰もがまた争う」というフレーズ。アンパンマンの歌には「何のために生まれて 何をして生きるのか 答えられないなんて そんなのは嫌だ!/何が君の幸せ 何をして喜ぶ わからないまま終わる そんなのは嫌だ!」▼ヒーローも悩む時代になっている。今、大人は「子ども番組」の単純かつ深い問いかけに答えられているだろうか。