【談話】「中3いじめ・転落死」第三者委員会報告を受けて書記長談話を発表

12月26日、岐阜県教職員組合は「中3いじめ・転落死」第三者委員会報告を受けて、以下の書記長談話を発表しましたのでお知らせします。

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【書記長談話】岐阜市「中3転落死」に関する第三者委員会報告を受けて.pdf
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【談話】「中3いじめ・転落死」第三者委員会報告をすべての教職員が重く受け止めること、及び岐阜市・岐阜県教育委員会による根本的な解決を求めます

2019年12月26日

岐阜県教職員組合

書記長 長澤誠

 

 今年7月に起きた「中3いじめ・転落死」について、亡くなられた中学生への心よりのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族にお悔やみを申し上げます。

 岐阜県の教育に携わる者として、今回の事案発生に対し、胸が締め付けられるような悲しみと責任を痛感しています。今後は、今回の事案が起こった原因や背景を共有し、二度と今回のような事案を繰り返さないための根本的な対策を講じていく必要があると考えます。

 

 12月23日、第三者委員会の「報告」が答申されました。「報告」では、いじめ防止基本方針が形骸化しており、当該学校及び教育委員会の対応が不十分・不適切であったことが指摘されています。再発防止策として提言された「教員間の情報共有や連携、組織的対応」などは、今後の学校関係者・教育委員会の取組の指針とし、必ず実行すべきものと考えます。教育に携わるすべての者が今回の事案を我が事として受け止め、今後の指導や取組を行わなければなりません。

 

 私たちはこの事案の「報告」に先だって、今回の原因を、関係した教員個人の責任のみに帰結させるのではなく、背景にある教員・学校が置かれた状況も究明し、根本的な解決をはかる必要性を指摘しました。教員は多くの業務を抱え、多忙・長時間勤務の状況にあります。その結果、教員にとって生徒たちと十分に向き合う時間が確保しづらい状況に置かれていることも訴えてきました。「報告」においても、「教員の多忙化が個々の生徒を見る余裕をなくしていることを念頭におき、教員の多忙の解消に積極的に取り組んでいかなければならない」と指摘しています。

 

 現在、どの学校の教員も、新たな教科や学習内容の増加、多様な生徒や保護者への丁寧な対応などがますます求められています。今回の事案が発生した学校は「研修校・実習校」と位置づけられています。「研修校・実習校」の教員は、さらに研究発表や教育実習生指導などの仕事が加わり、年間を通して深刻な長時間勤務の状態にあります。

 岐阜市教育委員会は「多忙」の原因を分析し、取り除く責務があります。この改善に取り組むことなく、教員の感性の欠如や教員間の連携不足のみに焦点を当て、教員個人や学校の責任に帰結させることがあってはなりません。教員の多忙・長時間勤務を放置したままでは、熱意を持って子どもたちに寄り添いたいと教員が願っていても、子どもたちの異変に気づいたり、訴えに十分に耳を貸すことができない状態が続くことになります。

 また、今回の事案が「研修校・実習校」で起きたことを重く受け止め、制度の廃止を含めた根本的な解決をはかることが絶対に必要です。

 

 今回の「報告」を受け、教職員一人一人が生徒に寄り添った適切な指導・対応をおこなえるよう、岐阜市教育委員会や岐阜県教育委員会による長時間勤務解消と「研修校・実習校」のあり方を改める確実な対応を強く求めます。

 

以上