ほんりゅう 8月5日(長澤)

「先生が担任じゃなかったら学校やめとったわ」?教育困難校といわれる高校に勤めていたときに、卒業していく生徒たちが何気ない会話の中で言ってくれた一言。勝手に今も私への最大の誉め言葉として記憶している▼頭髪・服装違反、無断欠席・遅刻・早退、粗雑な授業態度、そして生徒間のトラブル…手のかかる生徒がずいぶん多いクラスであった。問題行動の背景には、本人の未熟さ・自己肯定感の低さ、劣悪な家庭環境、中学校までの学校不信等、複雑にからみ合うものがあった。生徒が抱える困難さにともに向かい合おうとしながらも、指導をめぐって生徒と何度も対立したこともあった▼当時、高校生に普及し始めていた「ガラケー」を持っていなかった私は、パソコンを通して生徒とメールのやりとりをするようになった(今なら「生徒との私的メールは禁止」に抵触するかもしれないが…)▼対面せず時間差を生じながらのやりとりを通して、本音を伝えてくる生徒。「この子らに寄り添えるのは自分しかいない」と責任感も感じた。そして、一人ひとりの生徒が、つまずきながらも内面から成長していく姿を見ることは、私の喜びにもなった。これも教師冥利に尽きる、というものである。