ほんりゅう 6月20日(長谷川)

年金だけでは95歳の夫婦で2千万円不足するという。現在の60歳の貯蓄額が2千万円以下の人が3人中2人、さらに4人に1人が百万円未満と言うのに▼バス停で並んでいた小学生が刺され死傷した川崎の事件の犯人であったことから、中高年の「大人の引きこもり」を支える高齢の親が多数いることが注目された。官僚トップの事務次官経験者が引きこもっていた息子を殺す事件もあった▼元号が変わっても時代は簡単に変わらない。年金と引きこもりの問題に共通する背景は、平成から続く「自己責任」だ。年金はもうあてにならないから「自分で金を用意せよ」。引きこもりの問題は「本人と家族の責任」。少子化が進むのは「産まない女性の責任」。非正規労働者が増えるのも格差が拡大するのも「本人の努力不足」。「働き方改革」で早く帰れないのは「本人の責任」だから管理職は「早く帰れ」と連呼すればいい▼「自己責任」と言えば責任を問われない。国はこの言葉を広めて困っている人を助けず、問題を放置してきた。「道徳」で「困っている人を皆で助けよう」と教えさせているのに▼組合には切実な相談の電話がかかってくる。私たちは何とか解決したいと努力している。「自己責任」の時代に抗しながら。