ほんりゅう 6月5日(長澤)

裁判員裁判が始まって今年で10年目。以来、公民科の授業では、「20歳を過ぎれば、いつ裁判員にクジで選ばれるかもしれないよ。その時に『なんだ、これは』なんて思わないように、仕組みを理解し引き受けられるようにしておこう」と話している。卒業生で経験した者がいるかもしれないが、その報告は今のところない▼市民感覚を取り入れるということで始まり、県内でも1182人が裁判員や補充裁判員を経験。経験した人はほとんどが「よい経験になった」と答えている一方、裁判員候補者になっても辞退する割合は年々上昇し7割ほどに。辞退しなかった候補者が裁判所に出向く出席率は6割半ばほどに減少。その原因は、仕事の都合や心理的負担からだというが、裁判員になることを避けたいという気持ちと、選挙時の投票率の低さ、政治的無関心の広がりとは通底しているところもあるのではないかと思う。それは、社会と広く関わりを持とうする意識が希薄になっていないかということだ▼卒業生を迎え入れる社会が、選挙や政治、裁判員といった立法・行政・司法について日常的に話題にできる世の中であってほしい。それが生徒にとっての何よりの主権者教育になると思う。(長澤)