ほんりゅう 今年は○○年であった(長澤)

今年は明治維新から150年であった。子ども番組で扱うなら、正義の明治政府が悪い江戸幕府を倒したというストーリーができるかもしれない。しかし現実はそんな単純ではないことは、歴史を少し勉強すれば分かる。改革には光もあれば影もある。立場を変えれば善も悪となる▼今年は第1次世界大戦終結から100年であった。日本がモデルにした欧米は帝国主義の時代。日本はこの大戦で勝者の側に立ち、その結果は…。戦後、世界平和をめざす動きはあったが、世界恐慌、ナショナリズムの台頭と続き、第2次世界大戦を迎えることとなる▼今年は世界人権宣言採択から70年であった。2度も世界大戦を経験した人類が人権蹂躙への反省に立ち、世界規模で基本的人権の尊重を宣言。世界が現実を肯定し適応するだけなら、この宣言は現実とかけ離れていて価値をなくすかもしれない。しかし理想を高く掲げ、それに近づこうと努力するところに歴史の進歩がある▼100年前、150年前に時間を戻すわけにはいかない。世界でも国内でも「今は戦後ではなく戦前か」と感じる動きが多い。しかし、平和が維持され、人権が大切にされる、そういう世界に教え子を送り出したい。