ほんりゅう 主権者教育はどこへ?(長澤)

 

先月、安室奈美恵が芸能界を引退した。特にファンでなくても、いろんなところで報道されていたので人並みに関心を持った。ところで、ネットで検索すると、こんな書き込みがあった。「安室って反日なの?」「芸能人は政治コメントはやめといた方がいい」…▼安室は、8月の前沖縄県知事の死去に対して「沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております」とのコメントを発している。県名を換えれば、他県でも通用する追悼コメントだと思うのだが、なぜ冒頭のような書き込みにまで飛躍してしまうのか。翁長前知事が沖縄の基地問題で政府と対立していたがゆえの反応だったのだろうと思う▼それにしても、政府を批判すること、その批判を支持することに対して、いつの間に「悪」と決めつける勢力が目に付くようになったのだろう▼選挙年齢が18歳に引き下げられたのを契機に、「現実にある課題や争点について自らの問題として主体的に考え、判断する」(文科省)学習活動が推進されているはずである。政治のテーマになっていることへの発言に対して、一方的に抑圧したり控えたりする風潮が世間に強まれば、主権者教育は進まない。