先日、久しぶりに中学校の英語授業を参観する好機を得た。なんだかざわざわして雑然とした授業だった。それなのに、不思議と居心地が良かった。「なぜなのだろう」と考えてみた▼英語授業で、聞くこと・話すことが重視されるようになって20年以上が過ぎた。授業は「活動(activity)」が多い。ペアや4人のグループなどで役割練習をしたり、対話をしたり意見交流をしたりする。教室内を自由に動いて英語で対話をすることもある。どうしてもざわざわしてしまう要素が多い▼全体交流の場で、ある生徒が自分が言いたいことを大きな声で気ままにしゃべり出した。それに応えて他の2~3人がしゃべる。ところが教科担任の先生は、生徒のつぶやく言葉を丁寧に聞き取って、授業の流れに取り込んでみえた▼ともすれば、「強い指導」をして授業を成立させようとしてしまうことがある。しかし、とにかく生徒に寄り添う姿勢が貫かれていた。それには発達障害のある子への支援も含めて、非常な忍耐力が求められる▼授業は教科担任とALT(Assistant Language Teacher)、そして支援員(ある特定の生徒に支援を行う)の3名で進められていた。複数のスタッフで支援する体制の重要性も強く感じた。「強い指導」ができない私にとって、安心して居られる時間と空間になった。きっと、ほとんどの生徒にとってもそうなのだろうと考えていると、とてもうれしい気持ちで教室を後にすることができた。