ほんりゅう 私事で申し訳ないが(長谷川)

 息子が結婚した。大阪に居を構えるとの宣言に、夫婦で落胆した。親戚の「今時、結婚してくれるだけでも幸せじゃない」という言葉に自らを納得させた。結納はもちろん、仲人もない。式には恩師も上司も呼ばない。始めは親戚も呼ばないと言っていた。「式をあげてくれるだけでも幸せじゃない」これも親戚の言葉。費用はしっかり払わされたが…▼かつては2世帯6人で住んでいた家は、父母が亡くなり、子ども2人が家から出て夫婦2人となった。「子どもなんてすぐに大きくなって家から出て行くんだから、へたに大きな家を建てない方がいいよ」かつての知人のアドバイスが身に沁みる。最後は空き家になるのだろうか。その前の夫婦の介護はお互いでするしかないのか。この先の夫婦不和は文字通り命取りになりそうだ▼そう言えば、自分だって寺からの進言にもかかわらず、両親の墓を作っていない。今後の墓守が心配だからだ▼わが家の中に、この国全体の状況があらわれている。同様の家庭が国中にあふれているだろう▼未婚や非正規職など子どもを心配しつつ、親は子どもには頼れない。退職金を削減し、年金支給を遅らせ、年金額も減らす。定年延長でもっと働けという。国にも頼れない。すべてが「自己責任」に向かっていくこの国に未来はあるのだろうか。