夏は戦争に関する報道が増える。かつてほとんどの学校にあった登校日には、平和学習がおこなわれる事も多かった。8月には6日、9日、15日など、日本人が記憶し受け継いでいくべき日があるからだ。戦争に関しては、12月8日も重要だし、地域によっては3月10日や5月15日、6月23日も大切にされている(欄外参照)▼どの日を記憶するかで、戦争への姿勢が見えてくる。実は日本のポツダム宣言受諾は8月14日である。アメリカなど連合国の多くは、降伏文書に調印した9月2日を対日勝戦記念日(V-J Day)としている。8月15日は「戦争をやめる」宣言をしたにすぎず、戦争に敗れたことから目をそらしている様にも見える▼記憶されるのは「被害」の日であり「加害」の日ではないということも気になる。自分の痛みに比べ、他人の痛みは感じにくいためだろうか▼「歴史は繰り返す」のは、権力欲・征服欲とか、凶暴性・残虐性など、人間の本質が変わらないからだろうと思う。さらに、「正義」の名をかぶせられることも多く、抑えがたい。しかし、「繰り返さない」ように人類はコントロールするしくみを生み出してきた。憲法はその一つである▼今、「二度と戦争をしない」と誓った世界で、「戦争を避けるための地道な努力」よりも「戦争となった時の準備」を訴える声の方が大きく聞こえる気がする。勇ましい声に流されないための平和学習がより大切になってきていると思う。
(注)3月10日…東京大空襲/5月15日…戦後アメリカの占領下にあった沖縄の日本復帰の日/6月23日…沖縄戦終了の「慰霊の日」/12月8日…真珠湾攻撃で太平洋戦争開戦の日