ほんりゅう 「効率化」が奪う教育の「楽しみ」  (井深)

 先日、NHK朝の番組で『キッチン付きレンタルスペース』の話題に目が止まった。都会の空きスペースに食材を持ち込み、自分たちで調理する。青年がアジを三枚に下ろす映像が流された。「魚をさばくのなんて初めてだよ。」と言いながら楽しげに笑い、おしゃべりが弾む。手間も時間もかかるのに、このスタイルが若者たちに受けていると言う。居酒屋なら料理や飲み物がすぐにテーブルに運ばれ便利であるのに…。「手間暇がかかる」ということから言えば、かつてブームとなった『使い捨てカメラ』(正式には『レンズ付きカメラ』)が、「デジカメにはない写真の風合いやできあがりを待つワクワク感が何とも言えない。」と、若者に受けているらしい。    

 さて学校では、「学力向上」、「グローバル教育」、「小学校英語」、道徳の「教科化」、「主権者教育」…と、次から次と新しい施策が現場に下ろされる。どこかを切りつめて「効率化」しないと立ち行かなくなっている。

 新年度スタートを前に、初めて担任をする青年の相談を受けた。「学級びらき」や「授業びらき」をどうしたらよいかというものだった。寝る時間を削ってでも準備(教材研究)したいという熱意が伝わってきた。

 「効率化」のために、教育の「楽しみ」を奪われるのは、我慢ならない!今、手間暇をかける教育の「楽しみ」を知るベテラン教職員の出番でもある!