ほんりゅう 「はばたけ青春貴族たち」(柏瀬)

本棚を整理していたら、片隅に懐かしい本を発見した。タイトルは「はばたけ青春貴族たち」。岐阜教組の高校組織の前身、岐阜県高教組の非行克服研究委員会が編集した30年前の実践集だ。当時、中学・高校は非行の「戦後第三のピーク」と言われ、学校の「荒れ」の中で、教師はツッパリ生徒の指導に振り回されていた。▼私はその頃20代。日々の授業にも生徒指導にも苦心惨憺していた。なかなか自分の言葉が届かない。生徒の本音が見えない。何をやっても空回り。最後は強引にねじ伏せる。そんな毎日の中で、授業や生徒指導のヒントを求め、いろいろな本を読んだり、実践をまねたりしていた。「はばたけ…」は、そういう自分に、「生徒の力を信頼する」ことの大切さを教えてくれた。▼学ぶべき実践やアイデアはたくさんあった。授業の進め方や授業プリントの工夫、魅力的な投げ込み教材の例、授業ノートを通じた生徒との交流、学級通信や授業通信の実践…。組合の教育研究活動も、苦しかった私を支えてくれた。▼3月4日に、文科省から「補助教材」に関する通知が出た。「イスラム国」をめぐる「不適切な」画像使用を念頭に置いたものだが、新しい教育委員会制度の下、「不適切な」が教員の意欲的な取り組みや工夫を縛ったり委縮させたりしないよう、厳しく見守っていく必要がある。