ほんりゅう 教え子も我が子も『私の子ども』(岩田)

 国家予算に占める防衛費が過去最大になったという報道があった日、こんなことを思い出した▼数年前、インフルエンザに罹り診療所を受診した。医者に「お子さんたちの具合はどうですか?」と尋ねられ、私は即座に『学級ではまだ流行っていません』と答えた。ドクターはびっくりした後、ほほえみながら「違いますよ!お宅のお子さんのことですよ」とおっしゃった。私は赤面し、頭をかきながら答え直した。教え子も我が子も『私の子ども』同列であったのである▼「教え子を再び戦場に送らない」は私たち教職員組合が設立当初から掲げる不滅のスローガンである。「教え子とはいえ、我が子と同然」と感じ、日々実践にあたっている先生方が多かろう。教え子も我が子も戦で失いたくはない。ましてや、戦に駆り出す手助けなどとんでもない。戦後70年、太平洋戦争開戦から75年。80年近く前は、学校で公然と「お国のために」という教育が行われた▼安倍首相が記念の談話を発するという。「河野談話」「村山談話」を引き継ぐと言いつつ、不誠実な発言を繰り返している。ドイツは70年経った今でも贖罪を続け賠償をしている。経済大国の首相はアジアの人々、自国の国民にどんなメッセージを送るのであろうか。『子どもたち』を戦争に駆り立てたくはないし、国民が世界で肩身の狭い思いをするような談話はやめてほしい。