▼5月21日に福井地裁が下した「大飯原発3・4号機運転差止請求」の判決要旨を読んだ。再稼働の差し止めを命じたものだ。地震想定の甘さ、原発本体の欠陥や冷却機能の問題点、使用済み核燃料保管プールの脆弱さとその危険性、深刻な事故が起きた際の非常用防御設備や対策マニュアルの限界など、様々な危険と対策の不備を指摘した上で、判決文は述べる。▼『豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失』『福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染』であり『環境問題を原発の運転継続の根拠とするのは甚だしい筋違い』▼「よくぞ言ってくれた」と思った。原発再稼働反対が過半数を占める国民感情からすれば、同じ思いの人も多いだろう。しかし、考えてみれば述べられていることは当たり前のことであり、それが当たり前にならないもどかしさ、やりきれなさがこみ上げてくる。▼今のまま行けば、震災以来、初めて原発ゼロの夏を迎えることになる。昨夏のことからすれば、何とか乗り越えられるだろう。国や電力会社は、それでもなお原発は必要と言い張るのだろうか?これからも厳しく見守っていきたい。