ほんりゅう オリンピックに思う - 岩田

 NHKも民放も冬季五輪の映像にあふれている。メダルや順位の報道、選手の練習にまつわるエピソードや彼らの地元のニュースも多い。朝・昼・晩繰り返しである。▼そんな中、女子ジャンプの高梨さんの学級担任の言葉が印象的だった。本番直前のインタビューで「がんばれとはいえないですね」彼はそう言った。▼彼女の今期の活躍は目を見張るものがあった。今年だけの国際大会の成績(五輪をのぞく)をみても12戦9勝である。メダルの期待が高まるのも無理はない。ジャンプ本番の直前、担任の「がんばれとはいえないですね」の言葉には、普段の彼女の練習、学習、生活を理解しているものにしかいえない愛情を感じた。▼「五輪は『参加することに意義がある』との訳は間違いで、正しくは『参加して勝敗を争うことに意義がある』」と聞いた。勝敗を気にしないで競うものはいないだろう。勝敗を争う中でこそ勝つ喜びや負ける悔しさを味わうことができる。初めから「負けてもいいや」と思いながら戦いに挑むものはいない。▼しかし、そこにこだわり過ぎる余り「過熱」はないだろうか。外野が騒いだり期待するのは勝手だが、どれだけ本人や家族の思いに寄り添っているのだろうか……。少々疑問に感じる「日本の報道姿勢」である。