ほんりゅう 「不祥事」 - 岩田

テレビドラマ「半沢直樹」が終わった。大変な視聴率だったと聞く。原作は池井戸潤である(彼は、岐阜県八百津町の出身)。▼ほかにも、銀行を舞台にした痛快な小説を何冊も書いている。▼「花咲舞」というヒロインが登場する「不祥事」もその中の1冊だ。曲がったことが大嫌い、言いにくいことも相手が上司だろうが同僚だろうがはっきり言う。そして、仕事もできる。そんな彼女の活躍を描いている。その中に「結局、ここ(銀行)には人を動かし、ときに狂わせるいくつかの物差しが同時に存在している。銀行の利益という物差し、そして派閥や個人的な私利私欲という物差し、だけど私たち個人が幸せになれるかどうか、本当にやりたい仕事ができるかという物差しはいつだって後回し(中略)誰もお客さんのことを考えていない…」という台詞が出てくる。思わず、銀行を「教育現場」に置き換えて読んでしまった。そっくりそのままあてはまるとはいえないが、銀行にとってのお客は一番大切なもののはずであり、私たち学校で働く者にとって一番大切なものは「子どもたち、親たち、地域」ではないかと。そして、物差しが狂った時、〝不祥事〟が起こる。▼学力テストも、教育改革も心配な課題は山積みである。しかし、大切なものを見失わないために、物差しの精度と使い方を誤らないようにとりくんでいきたい。