去る2月22日、安倍首相はオバマ米大統領との首脳会談で環太平洋連携協定(TPP)に関する「共同声明」を発表し、交渉参加へ大きく動き出す構えを示した。▼「共同声明」には、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束するよう求められるものではない」という歯の浮くような文言が盛り込まれた。安倍首相はこれをもって、「『聖域なき関税撤廃』はないことが確認された」と発言している。本当にそうであろうか。▼「共同声明」では、日本が交渉に参加する場合、「全ての物品が関税撤廃の対象となる」ことを明確にしている。つまり、TPPの基本である、例外なしに関税と非関税障壁の撤廃をめざすということが再確認されたことにほかならない。「究極の自由貿易協定」ともいわれるTPPの本質はいささかも揺らいではいないのだ。とすれば、「あらかじめ約束するよう求められるものでない」とは、せいぜい要望を述べることができる、という程度のものではないだろうか。日本には、農林水産品を中心に一度も関税撤廃を約束したことのない品目が900以上ある。これらの品目を守ることなどできようはずもない。だまされてはならない。▼思い起こせば、教育再生の名の下に教育基本法を改悪したのは、旧安倍政権であった。今度はTPP交渉参加で亡国への道を歩もうとしている。疫病神に取り憑かれているようだ。何としてもTPP交渉参加を阻止しなくては。