ほんりゅう 震災の現実を忘れずに - 国枝

 このゴールデンウィーク、東北へ行ってきました。3・11以来5回目でした。農業に活路を見いだそうと村づくりを進める最中、福島原発事故でその動きが完全に停止し、再開の目処が立たない飯舘村を走りました。見物客のいない満開の桜は言いようのない寂しさに包まれていました。▼石巻では、津波から14か月、1億5千万円の新たな負債を抱えやっとのことで本格的再開にこぎ着けたものの、働き手が見つからないと嘆く水産会社の社長さんにあってきました。▼ゴールデンウィーク明け、3年生の「現代社会」の時間にこの土産話を取り上げました。「今日の話を聞いて、もっと深く原発について知りたいと思いました。自分の身近にある危険な事なので、もっと考えたいと思います」「(原発事故は)二度と起きたらだめやと、写真を見て、またまた考え直すことができました」「地震や津波の影響を受け、壊滅的な被害を受けてもあきらめない社長に感動した」生徒は、素直に反応してくれました。▼震災からの復興は進んでいるとはいえ、そのスピードは遅々たるものです。原発事故の福島では、復興の前提としての除染の目処さえ立っていません。私たちは、この現実を忘れてはなりません。絶えず関心を持ち続け、子どもたちに発信し続けることこそ、私たちの務めだと確信しています。