大問題!「1年単位の変形労働時間制」

【2】「変形労働時間制で夏休みが取れる」ってホント?

政府は「1年単位の変形労働時間制」の導入の目的は、長期休業中の「休日のまとめ取り促進」だとしています。文部科学省は、公立学校で授業のある学期中を「繁忙期」、長期休業中を「閑散期」と想定し、制度の導入によって「夏休みに休日が増え、教職の魅力につながる」などとしています。はたして本当でしょうか。

以下の問題点から、制度導入は教職の魅力を増すのではなく、ますます教員離れを加速させるのではないでしょうか。

休みの「まとめどり」で疲れは取れない

第1に、教職員の病気休暇・休業の発生時期は5~6月が最多です。人間の身体は「平均してならせばよい」というものではありません。「休みは夏休みまで待て」といわれても、その前に心身ともに悲鳴を上げている教員が多いのです。

 

夏休みでも仕事はある

第2に、長期休業期間中は、部活動やさまざまな業務があって、「休日出勤せざるを得ない」という声が多数上がっています。果たして文科省の建物の中にいる方々は学校現場の様子を本当に知っているのでしょうか。

 

今の制度のままでも、できることはある

第3に、夏季休業期間中に休みを取ることは、夏季特別休暇や年次休暇を取得することで、今の制度でも十分できることです。行政が行うべきは、休暇を取りやすくするために、夏季休業期間中の業務を縮減することです。岐阜市は昨年度から夏季休業期間中に16日間の閉庁日を設けましたが、現行制度の下でもここまでできることを立証しています。

 

無理に休日を増やすと教員の本来の権利を奪う

第4に、本来、夏季休業期間中は、教育公務員特例法にもとづく自主的・自発的な研修のチャンスです。「休日を増やす」という名目で、教職員が職務として自主的・自発的研修を行う権利をないがしろにすることは許されません。


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