【報告】2016年度組合連勤務実態調査

子どもと教育のために長時間過密勤務の根絶を

 今年で12年目となる組合連の勤務実態調査(6月13日~19日実施)に、1601名の方から回答が寄せられた。忙しい中、協力を頂いた教職員の皆さんに感謝申し上げます。

 

 今年度の時間外勤務は、平均19・4時間(学校内17・3時間、持ち帰り2・1時間)。健康破壊ライン越えは75・64%(内、過労死ライン越えは44・47%)となっており、2014年度をピークに減少傾向にあるものの、まだまだ異常な時間外勤務の実態が明らかとなった。

 

 2013年5月、県教委は「多忙化解消アクションプラン」を発表し、これを実効性のあるものにするため、組合と協議を続けてきた。時間外勤務が縮小傾向にあることは、勤務時間の記録が多くの学校で行われるようになったり、「8の日」など、ノー残業デーを設定したりするなどのとりくみが一定の効果を発揮したのではないかと評価できる。

 しかし、時間外勤務縮減について半数以上が「変わらない」、4人に1人が「前より忙しく感じる」と答えるように、縮減が実感できないのが実態だ。「小学校英語の教科化」「道徳の教科化」、さらに18歳選挙権をきっかけとした「主権者教育」を始め、新たな課題は増えるのに、削減されることがほとんどないことが問題だ。時間外勤務縮減と同時に、業務の縮減もしていかなければ、多忙化を抜本的に解決することはできない。

 時間外勤務の内容で最も多かったのは、教職員にとって大切な業務の一つである教材研究やノート点検、採点・成績処理。その業務が学校滞在時に終わらず、6割以上が持ち帰り仕事でこなしているという実態は深刻だ。様々な業務に忙殺され、本来ならば子どもたちのために割かねばならない時間を失っている。

 今年6月、県教委は「岐阜県中学校運動部活動指針」を出した。土日祝日も部活動を行い、教職員だけでなく、子どもたちも疲弊し、学校教育に弊害をもたらしている。文化部活動も含め、過剰で過酷な部活動を改善することも本来の教育を全うするために大切なことである。

 

 今回の勤務実態調査の結果を元に、県教委とも折衝を重ねながら、教職員も子どもたちも笑顔で楽しく過ごせる学校づくりをめざしていきたい。

学校種別の比較

 学校種別でみると、中学校の大変な実態が一目瞭然である。1週間の時間外勤務が26・5時間で全体平均よりも7・1時間も多くなり、健康破壊ライン越えが92・9%(内、過労死ライン越え71・9%)で最高である。特に部活動終了後に会議や授業の準備等をしなければならないことが原因であろう。これに続く小学校も健康破壊ライン越えが85・1%となり、大変な状況が伺える。

年代別の比較

 年代別では、わずかではあるが、若年層ほど時間外勤務が多い。健康破壊ライン越え、過労死ライン越えもそれに比している。教職について間もないこともあり、業務に要領を得ないことがあるかもしれない。しかし、それ以上に「若いから」と様々な仕事がまわされている実態も聞かれる。特に採用から数年は多くの研修にも時間を割かれることから、若い世代への配慮を検討すべきだろう。

職種別の比較

 職種別でもっとも時間外勤務が多いのは教諭(持ち帰りとあわせて21・4時間)で、続いて校長・教頭などの管理職(同18・1時間)となった。特に時間外5時間未満が0%であり、ほとんどの管理職が時間外勤務をしなければならない状況である。栄養職員、養護教諭など少数職種の時間外勤務の多さも問題である。

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勤務実態調査のまとめ
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