ほんりゅう 「とと姉ちゃん」と「真田丸」(長谷川)

 『暮らしの手帖』を発行した人物をモデルにした「とと姉ちゃん」を見ている。NHKの朝ドラは、しばしば戦争などの過酷な時代を生きる“庶民”の姿が描かれる。本作でも、太平洋戦争中、家の中で笑い声をあげただけで班長に目をつけられ、配給が減らされかかった姿が描かれた。今は戦争が終了したが、相変わらず乏しい食材を分け合って食べる家族の姿が描かれている。これは立派な平和教育になっていると感心させられる。▼一方、「真田丸」も様々なキャラクターが登場しておもしろいが、例えば秀吉の“朝鮮出兵”に行かされる兵の姿や、突然の攻撃を受けた朝鮮の民衆の姿は描かれない。描かれるのは“野心”や“策略”であり、せいぜい“主人の横暴さに苦悩する臣下”である。多くの登場人物が“権力者”であることには変わりがない。▼さて、参院選が終わり、改憲派が衆参ともに憲法改正を発議できる2/3を超える事になった。与党が憲法改正を争点化する事をさけていたため、国民の関心は、保育園不足・奨学金問題・年金・景気対策など様々に分散した結果が選挙結果となったと思う。だから、国民は政権に“白紙委任”したわけではない事を強調しておきたい。“権力者”による“横暴”によって、庶民が過酷な生活を強いられる時代の到来を絶対に避けなければいけない。