ほんりゅう 子どもの貧困 3(岩田)

 「子どもの貧困」について書くのは、3度目になる。「児童虐待対応最多1,018件」の見出しが躍る(5月28日付岐阜新聞/2015年度分まとめ)。県内5か所の子ども相談センター(児童相談所)が対応した件数であり、それは2010年から年間600件を超え、14~15年は特に996件から1,018件と増加傾向が顕著である。私が思うのは、「子どもの貧困」といっても、「食事を与えられない・学習費の納入が滞る」といった経済的な貧困ばかりではない。教育の貧困、子育ての貧しさも含まれる。育児放棄、保護の怠慢、性的虐待、暴言、暴力……。子どもたちを健やかに育てることの難しさ、困難さの現れが見て取れる。子どもが生まれた時は、写真を撮り、家族で喜び合ったのではないか。しかし時代が移り、「親業」も「育児」も学んでいた一世代前からは大きく様変わりしている。「子どもがおなかを空かして泣いている傍らで、親であるはずの大人がSNSやゲームに夢中になっている。朝、子どもを学校に送り出さない(出せない?)。」など、事件や相談の件数に上らないものも含めれば、1,018件の数倍はあるのではないか。学校教育現場では、1件1件の事例に対応するのが精一杯であり、事件や事故になる寸前のものもある。教育行政には、もっと人手と経費をさいて欲しい。