ほんりゅう 超高齢化社会の先(岩田)

 私事で申し訳ない。

 89歳になった義父が入院して3か月。そのうち、食べ物を噛んで飲み込むこともままならず流動食を経管で胃に流し込む生活が2か月あまり。ここ数週間は肺炎の疑いがあるということですべての栄養は点滴に切り替えられた。お医者さんは「1~2か月でしょうかね。いつ、何が起こっても不思議ではない状態です」と言う。

 家には84歳の義母がいる。認知症の症状が出始めて数年になるが、ここ最近は昨日のことも、数分前の事も覚えていられない。仏壇にお参りをしたり、文字を読んだりすることはできる。ただ、その意欲は衰えてきている。

 認知症高齢者は2012年の段階で約462万人(推計)。10年後の2025年には700万人になると予想されている。対象年齢の5人に1人が認知症になるのだ。研究も急速に進んではいるが、対象者が増えるスピードの方が勝っている。「老老介護」という言葉はすでに定着し、医療・介護・社会保険・地域社会の対応も追いついていないのが現状ではないか。

 父母の生き様、先人たちの生き方から学び、若い時から“備えておく”ことが必要だと思う。また、若い世代の問題でもある。老い方を思考しつつ、自分終いのあり方を考えさせられる日々である。